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いま×薩摩vol.6

 歴史を紡ぐ、我らの世代

鹿児島の人が明治維新をきちんと学び、そこにある先人の熱い思いを自身の情熱に変え、仕事や日頃の活動に活かして欲しい。そんな思いがある。維新が遂げられ150年、その間よいことばかりではないが、鹿児島が大きな原動力となった維新が現在の日本の社会の礎を築いたことは確かである。しっかり知りもっと誇りを持って生きてもいい。

私は古本屋であり仕事柄、郷土史、特に明治維新に関する書籍や史料に触れる機会が多い。いまでは自ら興味を持ち始め、休日には史跡巡りや偉人ゆかりの場所を訪ね歩くようにまでなった。鹿児島に維新に貢献した偉人や施設がいかに多いことか。しかしその功績について把握している人は多くないのでは。私自身、古本屋をやる前まではほとんど知らなかったし、意識もしていなかった。今でこそ知ってほしい!と訴える側だが。

歴史や郷土史に目を向けるのは圧倒的にご年配の方々。その視線を若年層に持ってもらえたら。もちろん比較的若い世代にも維新前後を含め、郷土史全般に明るい方もいる。たとえば『三国名勝図会』に掲載されている場所の全踏破を目指している男性。心強い存在だ。私にとって“現代の維新志士”とはこのような、郷土史を大切にして後世へ継いでいく気概と行動を兼ね備えた人々(ことに若い世代)である。自身を“志士”というのははばかられるが、私の仕事もその一端である自負は少なからず、ある。

歴史は過去のものではない。現在、そして未来へと地続きなのだ。右肩上がりの経済成長時代ではないいま、郷土の歴史、文化を大切にし、それを誇りに地域を盛り上げ守り抜いていくことが今後、そこに住む人々の幸福に直結すると強く信じている。

いま×薩摩vol.6

小村 勇一

古本屋「つばめ文庫」店主

1981年、鹿児島市生まれ。鹿児島市武岡にて、古本屋「つばめ文庫」を営む。趣味は、ランニング、バドミントン、史跡巡り、読書。たまに何も考えずにフラリと旅に出たくなります。

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