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いま×薩摩vol.16

薩摩切子に魅せられて

「キラキラと光を放ち、万華鏡みたい・・・。」初めて薩摩切子に触れたときに抱いた感動を今でもはっきりと覚えている。私が仙巌園で働き始めたのは、庭園から見る桜島の美しさに圧倒され、この素晴らしい景色の中で、鹿児島の良さを発信したいと考えたからだ。入社後、配属されたのが「島津薩摩切子ギャラリーショップ 磯工芸館」だった。
薩摩藩のガラス製造は、27 代島津斉興公が、薬瓶を作らせたことに始まる。その後、国を豊かにするためには、人々の暮らしを豊かにすることが大切だと考えた28 代島津斉彬公によって本格化する。多くの学者・技術者が携わり、海外への輸出を目指して開発された。しかし、斉彬公の急死により、その技術は一度途絶えてしまう。そして、100 年以上の時を経て復元されたのが、今私たちが目にする薩摩切子だ。江戸時代のものは、点数が少なく「幻の切子」と呼ばれ、復元に至るまでに多くの失敗と挑戦があったという。
伝統と新しさを兼ね備えている薩摩切子は、斉彬公の夢や、復元に取り組んだ職人たちの想いの結晶だ。そんなストーリーに想いを馳せると、よりいっそう輝きが増して見えるように感じる。薩摩切子に魅せられた1 人として、斉彬公のような広い視野と好奇心を持ち、鹿児島の魅力を発信し続けたい。150 年先も、薩摩切子が輝き続ける未来を信じて。

いま×薩摩vol.16

小屋敷 真未

株式会社 島津興業 運営課スタッフ

2015年に入社。島津薩摩切子ギャラリーショップ 磯工芸館の販売スタッフを経て、現在は、運営課に所属。仙巌園で行われる四季折々の催しの企画や、情報発信を行う。目標は、県内外・国内外の多くの方にご来園いただき、素敵な時間を過ごしていただくこと。

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