いま×薩摩vol.18
薩摩維新ふるさと博で思うこと〜デロリアンに乗った薩摩藩英国留学生〜
イベントを企画するにあたって念頭に置いたのは「現代にどういう形で幕末から明治の雰囲気を作れば良いのか?」ということだった。
まず「当時の人達がどのような服装で町中を闊歩していたのか?」また「その頃の文化は?」「食べものは?」「遊びは?」など様々なリサーチを行い、当時とは多少違うが、今の現代人が想像する当時の雰囲気を醸し出そうと考えた。
それが、鹿鳴館ドレス・ハイカラさんや、まだ残っていたであろう武士などのキャストを配置するという形だった。
また、他はパネル展示だけでは来場者は興味を示さないのではとの思いから、地元の劇団に協力を頂き、当時の偉人や一般の人々を模して楽しい芝居をおこなってきた。あとはこのふたつのイベントをメインに肉付けをしていった。
特に1回目は、今まで見本になるイベントがないうえ、鹿児島で初めての毎日行うお芝居や、それに携わる地元の役者さんが揃うのか?
台本は?・演出は?衣装は?小道具は?などなど・・・・。
またもう一つの柱となるドレスやハイカラさん・武士の衣装を着る「おもてなし隊」も毎日配置できるのか?衣装の調達は?ヘアーメイクは?など、不安の連続と創作する喜びが交錯していた。
そうした中、2014年10月に1回目を開催したこのイベントも来年の2018年でいよいよ「明治維新150年」で大きな節目を迎える。
「薩摩維新ふるさと博」を通じて私が思った事は、2016年のテーマでもある島津久光が行った「薩摩藩英国留学生派遣」は150年前にすでに日本の方向性を示したのでは?と思っている。それは1865年、英国に渡った19名の留学生が現代でいうタイムマシン(当時は洋式機帆船)に乗り100年先の時代を見聞したのでは?という考え方はできないだろうか?
何故なら、1863年薩英戦争の年英国ではロンドンで地下鉄が開業し蒸気機関車も走っていた。さらに前の1840年、英国では近代郵便制度もスタートしている。
まさに彼らが目の当たりにしたものそれは
「BACK TO THE FUTURE」そのものであったと思う。
宮原 祥造
株式会社KCR エグゼクティブプロデューサー
薩摩維新ふるさと博運営委員会委員。九州新幹線開業記念イベントを始め、鹿児島市の明治維新150年カウントダウン事業の一環である『薩摩維新ふるさと博』のほか、2015年に「鹿児島プレミアムお得旅キャンペーン」のひとつとして行われた、県政記念館での本格的プロジェクションマッピング『Kagoshima Wonder World 〜維新は薩摩から〜』など、さまざまなイベントを手掛けている。